その1

『涼子の部屋〜セカンドハラスメント〜』は被害女性として書いています。
社会保険労務士・被害女性という2つのキーワードを持つ私の役割のため、被害女性としての痛みや辛さを書くのではなく『何故、セカンドハラスメントが起こるのか。』に焦点を当てたいと思い『セカンドハラスメント(セクハラの2次被害)の加害者にならないための研究会』の方に移る準備をしています。

どちらに書こうかと迷いました。
こちらで書いていきます。


セクハラの定義
『相手を不愉快にさせる性的な言動のこと。』
『受けた側が苦痛・不快感を伴う事。』
『受けた側の主観を重視。』
は、定着しているのではないでしょうか。


受けた側、つまり、受け手の主観を重視することは、セクハラだけではありません。

例えば
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保険に加入するときの説明責任は、説明をする側が説明したではなく、説明を受けている側が理解したかどうかが重視されています。
重要事項説明書というものに、説明を受け、理解しましたと署名するようになっているくらいです。
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飲食店においても、シェフは美味しい料理を提供することを誇りとしています。しかし、食べる側が「美味しくない。」と言った時、シェフは「味が分からない奴。」で終わるでしょうか。次には、「美味しい。」と言ってもらえるように努力するはずです。

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医師は、患者が痛みを訴えたとき、検査をして原因・病巣を調べます。検査で原因・病巣を見つけられなかったとき、医師は患者に「痛くないはずだ。」とは言いません。別の検査で原因・病巣を調べます。色々な検査や方法で原因・病巣を捜します。患者の「痛い。」という声を無視することはありません。

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学校や塾の先生が、「分からない。」と言っている生徒に「分かるはずだ。」で終わることはありません。生徒が分かるまで、教え方を工夫し、分かるように教えます。
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接客業においても、お客様の声を聞くという取り組みは常に続いています。アンケートなど、『受け手側』の意見を集めようとしています。
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製品を作る側もです。自信を持っている商品であっても、クライアントからクレームがあれば、「使い方が悪い。」とかで終わることはありません。クライアントの声を聞き、更に良い商品を提供できるように努力しています。
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私も、開業して間もない頃、仕事の報酬の相場をS支部長に相談したことがあります。S支部長は「相場ではなく自分の仕事にどれだけの価値があるかで、顧客が満足していれば払う。」と教えてくれました。
評価は自分ではなく顧客だということです。つまり、『受け手側』が決めることだということです。
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『受け手側の主観』ということを重視しているのに、何故、セカンドハラスメントが起こるのか?

B先生のブログにある言葉
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『社会権にまつわる仕事が社会保険労務士の存在根拠』・・・すなわち、社会正義の側に立てないような職業団体というのは「正当性」or「正統性」がないのだということを考えさせられる。。。

実務的には、事業所の顧問として「加害者側」あるいは加害者が所属している「事業所側」の立場に立つこともある社労士として「何らかの訓練」は必要だと思うのであるが・・・
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私も事業主側として、セクハラの対応を求められたことがあります。
事業主が加害者ではありません。
事業主が雇っている人でもありません。
加害者は、取引先の人です。
非常に難しいものでした。
事業主が防げるものでもありません。(加害者と接しないようにするのが精一杯でした。)
ただ、被害女性の訴えを聞くことだけしかできませんでした。
被害女性は、退職願に「○○さんのセクハラが嫌なので退職します。」と書いて、即日、退職しました。
引継ぎもなしで、未完了の仕事を残して。

その後、被害女性から何もないことに、ほっとしたことを覚えています。
被害女性が、更に問題提起し続けたとき、どう対応したのか、どのような対応ができたのか、時々、思い出して考えることがあります。

加害者ではない。
当事者ではない。
でも、被害者が目の前にいる。

この立場での対応は、非常に難しいものではないでしょうか。

そして、心のどこかに、加害者には「面倒なことを起こしてくれた。」、被害者には「面倒なことを持ち込んでくれた。」という第三者的な、部外者だという思いがあるから、セカンドハラスメントは起こるのではないでしょうか。

被害者から相談をされたとき。
十分な状況が把握できない。
状況は把握できても、現行の法律では、どうすることもできない。
これは、社会保険労務士なら、何度か経験していると思います。

私が、被害女性を戦わせたくないと思うのは、現行の法律の限界があるからです。
もちろん、法改正への運動も起こってはいますが、今の時点では、戦わせることが被害女性を更に辛い思いをさせてしまうことも実感しています。


セカンドハラスメントが起こる原因の一つに、部外者(自分がやったわけではない。)だという意識があることではないでしょうか。

セカンドハラスメントを広い意味で考えると
『2重の苦しみ。』
『あの被害がなければ、このこともなかった。』
『加害者の行為で被害を受けなければ、その後はなかった。』

セクハラだけではなく、パワハラもちろん、その他の様々なことでも通ずることではないでしょうか。

そう考えると、私もどこかで、セカンドハラスメントの加害者になっているのだろうと思います。
私が気がつかないだけで。。。
その2

次に移るための準備の中、社会保険労務士として、実務的には加害者側に立つことになることは避けられないと考えると、加害者というものに興味が行きます。

過失の場合は、注意していても、起こり得ます。
誰もが避けることができないことです。

I口の猥褻行為は、あきらかに故意です。
社会保険労務士会の会合の場。
個人的な付き合いはない。
被害女性である私は、嫌悪の意思表示をしていた。
近づけば逃げるを繰り返しているにもかかわらず、追いかけてきて。
人前で臀部を下から上に触る。

O都道府県社会保険労務士会もS支部もI口の猥褻行為が酷い行為であるということは否定しません。
社会保険労務士会側も「自らの資格を汚すようなもの。」と言っています。
平成18年4月26日のM下のセカンドハラスメントは、I口の行為を否定するのではなく、表に出したくないという『セクハラを解決する組織だから、身内からセクハラで処分された者を出したくない。』という意識が働いたということかもしれません。

これは、わからなくもありません。
私も顧問先・関与先の対応も、表に出ないようにすることを考えてしまうことがあります。
表に出ないようにするためにも、セカンドハラスメントの概念は大切ではないでしょうか。

『涼子の雑記帳-4 その3
で書いた推測が、真実なのかなと思ってしまいます。

加害者には加害者の役割があると思います。
そう感じたのは、I口の義姉と電話でですが話したときです。
被害女性の私が苦しんでいるのに加害者であるI口がノウノウと暮らしているのが許せず、I口の連絡先を調べているときです。
電話はI口の義姉のところにつながりました。(何故だかは、分かっていますが。)
I口の義姉は「貴女が怒るのはもっともです。」「I口は4年もの間、謝罪もしていないのですか。」「同姓として許せない。」と電話口からI口に対する怒りが伝わってきました。
「I口が悪い。」を繰り返します。
そして、「貴女が私たちに迷惑をかけている訳ではありません。I口が私たちに迷惑をかけているのです。」と言いました。

私は、加害者には加害者の役割があり、加害者も加害者の家族もセカンドハラスメントの加害者を憎むことが、セカンドハラスメントをなくすことになると思いました。


これは、甘い考えでした。
このメールの意味を知ることになります。
彼女も同じように苦しみ、同じように感じたから、私に書いてくれたのだと。
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私は主に
「加害者は反省などしない、反省するくらいなら嫌がらせなどしない」
とか
「加害者の家族が路頭に迷うよう、追い込んだのは加害者自身だ。」
と助言してきました。
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I口の息子とも電話で話をしました。
謝罪などありません。
逆に私を責めます。
こちらの話を聞きません。

I口の息子の言い分は「悪いことをしたのは親父で、息子や家族は関係ない。親父を、いくらでも責めてくれたらいい。」です。
この言葉を繰り返します。


果たしてそうでしょうか?
加害者が属する組織が無関係でいられるでしょうか?
いくら自分たちが無関係と主張しても、第三者はどうでしょうか?
無関係だと言う人もいれば、無関係ではないと思う人もいるでしょう。


被害女性は苦しみます。
被害女性の家族も苦しみます。
被害女性を支えている周りの人たちも苦しみます。
『被害者は、ただそこにいるだけで災いが降りかかってくるのであって、原因は常に加害者にあるのです。』
なら、加害者が苦しむのは当然のこと、加害者の家族が苦しむのも原因は加害者にあるという主張を被害女性はします。

加害者が属する組織が『加害者個人の問題』としても何の解決にもありません。

被害者が加害者を憎む気持ちに『火に油を注ぐ』だけです。

私自身も、加害者であるI口の家族が苦しんで当然と思う『負の感情』を抑えることができません。

『ひめみこ』さんからのメールの言葉です。
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堂々と戦っている人は本当にごくわずかです。
大抵の人は嫌がらせを受けても何もやり返せなかった自分を恥じ、病になった自分の弱さを恥じ、自分を責めて生きています。
だから、『戦えない事も弱い事も恥かしくないし、自分を責めないでね。加害者が全〜部、悪いんだから!』という事だけを伝えるんです。
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3年間の沈黙の間、私も自分を責めました。
I口の悪意で故意の猥褻行為です。
被害女性である私には全く落ち度はありません。
何故、M下から、あのようなことを言われなければならないのか。
悪いのはどちらか、はっきりしている。
人前で臀部を下から上に触られるという猥褻行為の被害を受けたのだから、加害者の処分を求めるのは当然のことではないか。
何に、何故、戦わないのか。。。
何故、『泣き寝入り』をしなければならないのか。


後輩のQ君が「加害者側は、ある日突然の問題提起だけど、被害者側は段階がある。いきなり、大ごとにはしない。」と言っていていました。

加害者が属する組織が『加害者個人の問題』とせず、加害者の行為が『悪い』という認識のもと対応することも、セカンドハラスメントを防ぐ一つではないでしょうか。
その3

受けた側、つまり、受け手の主観を重視する。』
セクハラの定義としては、表向きは定着しています。
実際問題としては、まだまだ、被害女性の訴えを否定する現実が残っています。
だから、セカンドハラスメント(セクハラの2次被害)が起こるのですが。

被害女性が『声』を出すことに躊躇する原因は、他にもあります。
性的な被害を受けてしまったことは、加害者が悪いと頭では理解していても、自分自身が恥かしいのです。
そして、加害者・加害者の家族・加害者側からの非難、中傷を恐れます。
被害女性が被害を口にし、ホームページやブログを作成したり、体験談として話したりすることを、『嫌がらせ』と非難します。
加害者が開き直り、被害女性を名誉棄損で訴えることもあります。

海外のメディアでも取り上げられている日本のセクハラ裁判でも、被告側が名誉棄損と原告を訴えました。
原告がセクハラの被害の事実をスピーチしたりすることを、「会社のイメージを損なう行為。」として名誉棄損でセクハラ裁判の係争中に訴えました。

これでは、被害女性は、被害に遭ったことを誰にも、どこにも言えなくなります。
被害女性の多くは、現行の法律に限界を感じています。

『ひめみこ』さんのブログにもあるように
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私達、被害者にとっての勝利は、裁判に勝つ事も重要ですが、
何より未来で加害者がのさばり、被害者がセカンドハラスメントに遭っているようでは、
「勝って負けた」
と言う以外ないでしょう(・・)
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「次のために」

どうすればよいかと考えます。
色々な形で、自分が味わった屈辱、痛み、苦しみを次世代に残さないようにと活動します


でも、活動することに迷いが生じることがあります。
加害者・加害者の家族・加害者側への『嫌がらせ』とはならないかと。。。

もし、活動しなければ。。。次は、どうなるのか。。。

「次のために」。。。自分が出来ることをしたい。

この堂々巡りです。

『被害者は、ただそこにいるだけで災いが降りかかってくるのであって、原因は常に加害者にあるのです。』
原因は、全て加害者にあるのに、何故、被害そのものだけではなく、その後も、苦しめられなければならないのか。。。
戦っても、『泣き寝入り』しても苦しみます。


I口の息子は、「セカンドハラスメント、セカンドハラスメントって、それは貴女の受け取り方次第でしょう。」と言いました。

なら、被害女性の活動が『嫌がらせ』かどうかは、加害者・加害者の家族・加害者側の受け取り方次第です。

このホームページが、加害者であるI口の家族にとって『嫌がらせ』かどうかは、I口の家族の受け取り方次第。

ここでも堂々巡りです。

ただ、一つはっきり言えることは、I口の猥褻行為が原因であることです。
このことがなければ、後の堂々巡りはありません。

I口の猥褻行為が存在しなければ、M下のセカンドハラスメントも、その後の社会保険労務士会の対応も、すべて存在しません。


私も、他のことをしていることでしょう。
やりたいことはたくさんあります。


『負の連鎖』を断つためにも
『被害者は、ただそこにいるだけで災いが降りかかってくるのであって、原因は常に加害者にあるのです。』
『追求すべきは加害者であり、そもそもセクハラ自体があってはならないこと』
『被害者を非難して迫害することはまったく不条理なことであり、被害者に二重の苦痛を与えるだけの残酷きわまりない行為』
に行き着きます。


セカンドハラスメントの起こさないためには、加害者と加害者の行為に視点を当てるべきではないでしょうか。

加害者は自分の都合のいいことしか言いません。
I口もそうでした。
貝塚市yの社会福祉課の言っていることとI口の言っていることは違うし、社会保険労務士会側が言っていることI口が言っていることも違いました。
私は、その都度、確認しました。
地道な時間と労力のかかる作業でした。

人前で臀部を下から上に触るという猥褻行為の加害者が、こうですから、目撃者がいなかったりした場合、被害女性が『性的な嫌がらせ』を証明することが、いかに難しく、セカンドハラスメントが起こりやすい状況が容易に想像できます。
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