その1

私も社会保険労務士です。
I口も社会保険労務士です。
社会保険労務士は士業です。
独立開業の資格で職業です。
表向きは対等な立場です。

しかし、本当に対等な立場だったでしょうか。
対等な立場であれば、I口は、私に対して、人前で臀部を下から上に触るというような猥褻行為ができたでしょうか。

少なくとも、I口は、私を『格下』と認識したのです。
何もない状態で、自分より強いと判断した相手に、『悪い』と言われる行為ができるでしょうか。
I口が、私を自分より強いと判断していれば、猥褻行為などできません。

M下もです。
自分より、強い相手であれば、事の善悪を判断し、対処したはずです。

セクハラもパワハラも、まして、セカンドハラスメントは、『弱い者いじめ』なのです。

外から見える『対等』ではなく、外からは見えない『対等』を見つめなければ、セカンドハラスメントは起こるのではないかと思いました。

私は、性的被害のセカンドハラスメント(セクハラの2次被害)を問題としていますが、セカンドハラスメントは、『社会権にまつわる仕事が社会保険労務士の存在根拠』ですから、他の問題にも言えることだと思います。

障害年金の裁定請求、賃金未払い、不当解雇など、多くの業務においてもセカンドハラスメントは必要な概念ではないでしょうか。

私も、気づかないところでセカンドハラスメントの加害者になっているのかもしれません。
その2

セクハラの被害女性と話をして、被害女性である私でさえ、「えっ、これくらいのことで。」と心の中で感じたことが正直あります。

手を握られた。
肩に手をかけられた。
足をずっと見ていた。
仕事中、ずっと、こちらを見ている。

被害女性も、被害を受けたという被害者意識より、注意を促し、不愉快なことは止めて欲しいという軽い気持ちでの問題提起です。
問題提起という言葉はふさわしくないようなものです。

道を歩いていて、車が走っているのに飛び出しそうになっている子どもを見かけて「危ないよ。」と注意するくらいの気持ちではないでしょうか。
当然のこととして発言したのです。

何故、業火になるのでしょう?
加害者側にとっては、『軽微なこと』と受け取ったことが、何故、大きな問題となるのでしょうか。

私のホームページや『ひめみこ』さんのブログで共通していることは、ありませんでしたか。


『被害そのものより、その後の対応の在り方』を問題としています。

1次被害がなければ、2次被害は起こりません。
しかし、2次被害が無くならない限り、1次被害はなくなりません。
2次被害の加害者と1次被害の加害者は、同罪です。
いえ、被害女性を深く傷つけることにおいては、1次被害より重い罪です。

社会保険労務士が1次被害の加害者になるなど言語道断です。
セカンドハラスメントに加害者には非常になりやすい立場にいます。


『人前で臀部を下から上に触るという猥褻行為の被害』

被害女性の私に落ち度は全くありません。
誰が見ても聞いても酷い行為ではないでしょうか。
なのにこの対応でした。

『次のために』
一緒に考えて下さい。
その3

セカンドハラスメントは、ほかの意味にも用いられることもあります。

『セクハラの2次被害』との言葉を使わず、『セカンドハラスメント』を使うようにしているのは、セクハラだけではなく、パワハラはもちろん、その他にも様々な問題に『セカンドハラスメントの概念』は通ずると感じたからです。

新聞の特集で『我が子を虐待する母親』の記事がありました。
私は、我が子を虐待する母親の存在は許せないし信じられないと思っていました。
その記事には、我が子を虐待してしまう母親のことが書かれてありました。
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周りから責められ、我が子を虐待してしまう自分自身を責めていたけれど、同じように苦しんだ女性から「頑張っているんだね。大丈夫だよ。」と抱きしめられてから、我が子を虐待しなくなった。
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その問題に取り組んでいる方のコメントに「我が子を虐待してしまうことに苦しんでいる。そんな母親を責めても解決はしない。」と書いてありました。
母親が我が子を虐待してしまう原因は様々でした。

セクハラは、全て加害者が原因です。
にも、かからずセカンドハラスメント(セクハラの2次被害)が起こります。
『被害者は、ただそこにいるだけで災いが降りかかってくるのであって、原因は常に加害者にあるのです。』

セカンドハラスメントは、1次被害より、酷いことです。
セクハラでダメージを負った被害者に追いうちをかける「セカンドハラスメント」は、非常に立ち直りが難しく、ゆえに、より深刻な問題とも言えるのです。

『我が子を虐待する母親』の問題も、母親を責めることはセカンドハラスメントではないかと思いました。
母親の心の傷を深くすることで、更に我が子の虐待を酷くすることになるのではないかと。


セカンドハラスメントの概念は、様々な問題を悪化させないために必要なものではないでしょうか。

セカンドハラスメントで大切なことは、『問題の本質』を見極めることではないでしょうか。


社会保険労務士の仕事の中で、依頼者や相談者を傷つけるかどうか紙一重と感じることがあります。
顧問先・関与先の事業主との対話では、双方、仕事です。
また、ある程度の信頼関係ができているから深刻な内容も話し合えます。
しかし、障害年金の裁定請求や審査請求の相談、不当解雇など、相手の心情が痛いほど分かっても、現在の制度や法律では、どうすることもできないこともあります。
その説明をする時の言葉一つで、相手を傷つけてしまいます。

友人の障害年金の審査請求をした時、そのことを感じました。
友人は、心臓に穴が開いています。
障害年金1級でしたが、ある年、現況届を出した後、2級になりました。
同じような病気の人が、その年は、かなり2級になったそうです。
私のところに相談に来ました。
友人は年々悪くなっています。
委任状を書いてもらい、審査請求の準備に入りました。
何故、1級から2級に下がったのかを調べました。

「障害年金は1級と2級しかない。植物状態の人も1級だから、心臓に穴があいている人は1級と2級の境目で、去年と同じ病状なので、1級から2級になった。」という説明をを受けました。
私は、友人に、このことを告げなければならないのです。
病状は年々悪くなっているのですから、医師に診断書の訂正を求めなければなりません。
友人に伝えなくては、前に進みません。
友人に伝え、医師に新しい診断書を出してもらいました。
審査請求の手続きを終え、友人に預かっていた資料を返却に行きました。
友人が「たとえ、1級に戻らなくてもいい。将来のことを思うと不安だったけど、私は、こうして家の中で酸素マスクを付けてだけで自由に動けるし、2級でもしかたないのかなと思える。」と言ってくれました。
ほっと、しました。

友人との信頼関係があったから、傷つけずに済みましたが、一元的な依頼なら、どうなっていたかと思います。

日常生活に酸素マスクが欠かせず、外出もままならない。
そんな人に「植物状態の人も1級だから、心臓に穴があいている人は1級と2級の境目。」と言わざるを得なかったとはいえ、私は言ったのです。
私は、友人が『1級でないのはおかしい。』と思ったから、依頼を引き受けたのです。
何より、私ができることを友人のためにしたいと思いました。
友人が他の社会保険労務士ではなく、私のところへ相談に来てくれたことが、とても嬉しかったです。

友人の話ですと、同じ病気の人が社会保険労務士に相談に行って傷つけられたという人もいたそうです。

セカンドハラスメントになるかどうかは、相談を受ける側の意識・認識が大切です。

『被害者の受け取り方次第』ではありません。
相談を受ける側、言葉を発する側の意識・認識次第です。

女性の人権問題に取り組んでいる任意団体の代表のRさんにシビアな助言を受けたこともあります。
『ひめみこ』さんからも、「きついかもしれないけれど。」と前書き付きの助言があります。

でも、言葉を見ると『きつい』という表現が当てはまりますが、しかし、私のためを思ってのこと。

もし、私がセカンドハラスメントに感じたと言っても、Rさんや『ひめみこ』さんは、「受け取り方が悪い」ではなく「自分の言い方、伝え方が悪かった。」と言うでしょう。
そして、言い方の工夫、伝え方の工夫をするでしょう。


セカンドハラスメントは、『受け手の受け取り方』の問題ではなく、自分側の問題であると認識することが大切なのではないでしょうか。
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